1. はじめに
2025年、ドナルド・トランプ氏が再びアメリカ合衆国の大統領に就任しました。その影響は、アメリカ国内にとどまらず、グローバル経済、そして日本市場にも及んでいます。
トランプ大統領の政策は明確にアメリカファーストを掲げており、保護主義的傾向、規制緩和、減税、国防費拡大といった特徴を持ちます。これらが日本株にどのようなインパクトを与えるのかを整理し、注目すべき日本企業をご紹介します。
2. トランプ大統領再選が確定:日本市場への4つの主要な影響
2-1. 米中対立の再燃と日本企業の板挟み
トランプ大統領はすでに、中国製品への大規模関税強化を再開しています。これにより米中関係は急速に悪化し、日本企業はその板挟みになる構図が再燃しています。
特に、中国に生産拠点を持つメーカーや、米中両国に売上を依存する企業は、供給リスクと販売リスクの両面で影響を受ける可能性があります。
2-2. 為替市場への圧力と円高・円安の分岐点
再選直後から、トランプ大統領は円安やユーロ安に対して「不公正な為替操作」と発言しており、円高圧力が強まる場面も見られます。
一方で、減税・財政出動・金利上昇がドル高要因となり、結果として円安が進行する可能性もあるため、為替の動きは日本市場全体に大きく影響します。
2-3. 防衛支出拡大と日本の軍需産業
トランプ政権下で米国防費は再び拡大し、日本にも「同盟国としての防衛努力強化」が求められています。
岸田政権もすでに防衛費をGDP比2%水準に引き上げる方針を継続しており、日本の防衛関連企業には引き続き追い風が吹いています。
2-4. エネルギー政策の変化と資源関連企業の展望
トランプ政権は環境規制を緩和し、シェールオイル・天然ガスの増産を後押ししています。原油・天然ガスの供給が増えれば、価格は安定し、資源を多く輸入する日本にとってはプラス材料です。
一方、資源価格が落ちすぎると資源株にはマイナス要因となるため、需給バランスにも注目が必要です。
3. テーマ別:注目の日本株
3-1. 防衛関連銘柄
- 三菱重工業(7011):護衛艦・ミサイルなど国防装備を手がける代表的企業
- IHI(7013):航空エンジン・ロケット関連に強み
- 細谷火工(4274):ミサイル用火薬を製造する国内防衛部品メーカー
これらの企業は、日米防衛協力の深化とともに長期的な成長が期待されます。
3-2. 資源・エネルギー関連銘柄
- INPEX(1605):原油・天然ガス開発を手がける最大手
- 石油資源開発(1662):国内外での資源探査・開発を展開
- JXTGホールディングス(5020):エネルギー供給全般を担う巨大企業
トランプのエネルギー自由化政策は、輸入コスト安と資源確保の安定に貢献します。
3-3. 為替に強い輸出企業
- トヨタ自動車(7203):為替の影響を受けやすいが、世界販売力に強み
- ソニーグループ(6758):為替動向とエレクトロニクス・ゲーム事業で利益変動
- ファナック(6954):グローバル需要に支えられるFAメーカー
為替相場が円安に振れれば大きな利益増が見込まれる企業群です。
3-4. 米国対応力の高い企業
- デンソー(6902):米国工場網を持ち、現地供給体制を確保
- 村田製作所(6981):北米市場の重要顧客に対する供給体制が整備済み
- キーエンス(6861):現地営業体制が強く、米国市場との親和性が高い
現地対応力は、トランプ政権下でのリスク回避に有効です。
4. 投資家が考えるべきポイントと注意点
- 関税・地政学リスクの高まりにどう対応するか
- 為替の変動性が上昇する中でのリスク管理
- セクター間の「恩恵」と「被害」の分岐を理解する
- 防衛・資源テーマへの投資は政策連動性が強く中長期視点が必要
5. まとめ
トランプ大統領の再登場は、日本市場にも明確なインパクトを与え始めています。米中対立、為替変動、防衛費の拡大、エネルギー政策の転換など、さまざまなテーマが同時に動いており、それぞれに応じた銘柄選びが求められます。
政治と経済の連動を理解しながら、変化をチャンスに変えていく視点を持つことが、今後の日本株投資においては極めて重要です。
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